死後の世界(5)誰もが「夢の中の世界」を経験する

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前回は 死後の世界における上下について書きました。最初は死後の世界に上下はありませんでしたが、人間の争いが下の世界を作っていきました。死後の世界では幽体という霊的な身体で生活しますが、この身体が住むのに適している場所に自動的に移動することや幽体の状態が悪いと下の世界に行ってしまうことも併せて書きました。

それでは、いわゆる下の世界とはどんな所なのかを水波先生の著書を参考にして書いていきたいと思いますが、今回は死後の世界に行く前の「夢の中の世界」について書いていきます。

なお、 死後の世界 の見解については水波霊魂学に基づいています。

 

夢の中の世界 :「死後の世界」に行く前の場所

今回参考にする書籍は「死後の世界で恋をして–愛って?」です。この本のメインテーマは死後の世界での恋愛事情なのですが、主人公の三郎さんは交通事故で他界して下の世界に行きました。そこで彼が体験したことは下の世界のことを知る上でとても参考になります。

主人公の三郎さんはもちろん架空の人物なのですが、婚約者がいる青年でした。彼は残念なことに交通事故に遭ってしまいます。それも即死してしまったようで「夢のような世界」で我に返った時、自分が死んだことに気が付いていませんでした。

彼は訳がわからないままあちこち歩き回りますが、そんな中でいろいろなことに気が付きます。いくら歩いていても全く疲れず喉も乾かないしお腹も空かない、そろそろ日が暮れても良い頃なのにずっと昼のまま、人はおろか家も見当たらず、電車もバスも何もなくあるのは花畑だけ・・・。

三郎さんは思いました。

「たぶん僕は死んだんだ。でも、ここは天国なのか地獄なのか?もしも地獄だったらどうしよう。」

三郎さんはどんどん不安になっていきました。ここから逃げたいと思いましたが、どこに逃げたらいいのかもわかりませんでした。何しろ自分が置かれている状況が分からないのですから対策の立てようがないのです。

情報が欲しいのですが、いくら歩き回っても誰にも会いません。三郎さんの不安は頂点に達しました。

「もう殺してくれ!」と心の中で絶叫した時でした。

 

突然、目の前に人が現れた。そして、彼にこう言った。
「三郎さん、どうですか。助けが要りますか?」
(要るに決まっている。)
と心の中で思ったが、初対面の人である。誰であるのかすら分からない。慎重に言葉を選ぼうとしていた。その時であった。
「要るようですね。それなら教えましょう。」
三郎は驚いた。まるで心の中が読まれてしまったかのごとしだったからである。
「心の中を読んだのではありません。こちらの世界では、一々口に出さなくても、心の中できちんと話せば、相手に伝わるのです。」
三郎は腰が抜けそうになった。
(とにかく、悪い人ではなさそうだ。この人の話を聞こう。)

水波一郎著「死後の世界で恋をして–恋って?」 P.8

 

三郎さんが心の中で叫んだことで助けが来ましたが、じつは彼はラッキーだったのです。おかげで心が潰れずに済みました。

じつは彼はこの時点で「本当に行くべき場所」に行く前です。人は他界してすぐに幽質界に行くわけではなく、夢のような世界に一定の時間留まるのです。

 

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迎えに来てくれる霊魂がいることはラッキーだということ

彼は生前、神や霊魂を信じてはいませんでしたが拒絶はしていませんでした。周囲には宗教の信者も霊魂や死後の世界を信じる人もいましたが、それは人それぞれだと考えていました。

つまり、これは彼の守護霊は拒絶されていないということです。守護霊から三郎さんは見えにくかったかもしれませんが、守護霊の依頼を受けた霊魂(補助の霊魂)が時々、三郎さんの様子を見に来ていました。彼が事故に遭った時、その霊魂がたまたま近くにいましたので、彼は心が潰れる前に手を差し伸べてもらえたのでした。

神や霊魂を信じるか否かは個人の自由意思です。ただし、嫌ってしまったり拒絶してしまえば助けが来ることはありません。なぜなら、上の世界の霊魂は人間の自由意思を尊重するからです。

ここを理解せずに下の世界に落ちてしまって、『拒絶するという自由意思を行使したのは自分』だということを棚に上げて、神を逆恨みしている霊魂がたくさんいるようです。

それでも、なぜか拒絶している人に迎えが来ることがあります。この世に生きている間に不道徳な霊魂に目を着けられたり干渉されていますと、この類の霊魂が迎えに来るかもしれません。そうなりますと、死後の世界は暗いものとなります。

いずれにせよ、三郎さんの場合は、信じてはいませんでしたが拒絶はしていなかったことが幸いしたのか、正しい霊魂が迎えに来てくれて死後の世界についていろいろ教えてくれました。しかし、その霊魂は最後にこう言いました。

 

「貴方はこれから本当に行くべき世界に行く事になります。私はこれ以上、貴方の元には来られません。私の体では付いていけない世界だからです。貴方の体に適した世界でないと、貴方は霊魂として成長しにくいのです。ですから、これでお別れです。」

同 P.13

 

三郎さんは、迎えに来てくれた霊魂と別れなくてはならないことや新たな世界のことを思って不安になりました。しかし、どうしたわけか眠気を感じてそのまま眠りにつきました。

そして目が覚めた時、三郎さんは別の世界にいました。

 

 
【死後の世界についての記事一覧】

第1回 水波霊魂学での見解と死後の世界を知ることの意義
第2回 この世との連続性」と「捨て去るもの」
第3回 最初の関門を突破できるか
第4回 上の世界と下の世界とは何か
第5回 誰もが「夢の中の世界」を経験する
第6回 イメージ したことが実現する世界
第7回 ケンカをすると地獄になる場所
第8回 呼び覚ましてはいけない記憶
第9回 「生きがい」 が見い出せないという苦悩
第10回 霊的に成長 するのか、停滞するのか、それとも後退か
第11回 自分勝手な願い を叶えてくれる神などいない
第12回 相手との 不一致 が悲劇を招く
第13回 なぜ 下の世界 に落ちるのか
第14回 「 宗教の教え 」に隠された本質とは
第15回 思い込み がもたらす不幸
第16回 『 囚われ 』-肉体が消えたあとに残るもの
第17回 無信仰 の人達が集まる街