死後の世界 (10)霊的に成長 するのか、停滞するのか、それとも後退か
住む場所が変わることが「 霊的に成長 」した結果であれば大成功です。
三郎さんは死後の世界で生活しているうちにさまざまな経験をしていきました。そして、それが幽体という霊的身体に変化を起こすことがあります。その結果、その場所に居られなくなり、変化した体に適した場所に勝手に移動することになります。
私たちはこの世での生活を終えて他界しますと、死後の世界に旅立つのですが、水波霊魂学では「幽質の世界」と呼んでいます。この世界はとても広大で複雑な場所で、単純に区分できるような場所ではないのでした。
なおここでの 死後の世界 の見解については水波霊魂学に基づいており、水波先生の著書「死後の世界で恋をして–愛って?」で主人公が経験したことを参考にしています。
死後の世界は、ふつうに生活することが修行
親切な霊魂が言いました。
「霊魂の世界(死後の世界)では、体(幽体)が耐えられる場所でしか生活できないのです。ですから、貴方は貴方の体が生活できる場所で暮らしているのです。
そうなると、もしも、体の性質が変わってしまったら、その時は移動するしかなくなるのです。移動しないでそのまま居ようとしても無理なのです。体が耐えられなくなります。ですから、気が付いたら、知らないうちに移動しているという事になるのです。
それがより成長する事であれば良いのです。逆であると、より苦しむ事になるのです。」水波一郎著 「死後の世界で恋をしてーー愛って?」 P.69 (下線・括弧は引用者)
死後の世界(幽質の世界)には、たくさんの人や動植物が生活しています。彼らはすべて幽体という霊的な身体を使用していますが、その身体の性質は千差万別です。よく似た性質の幽体の存在は一つの場所に集まって、この世でいうコミュニティのようなものが作られます。人間は町を作り自分が住む家を作ります。そこにいる犬や猫を飼う人もいます。
見た目はこの世の町の風景とあまり変わりません。あとは、この町に住んでいる人たちが、他人を攻撃するような好戦的な集団でなければとりあえずは平穏に暮らせるかもしれません。
しかし、これまで書いていきましたように、この世界は「生きがい」や「自分が生きる価値」を見つけるのが難しい場所です。自分が望むものを何でも手に入れられたとしても、それは想念の産物であってしょせんニセモノなのです。
この現実に気づいてしまいますと、本当に何もすることがなくなってしまいます。
私たちも何かの拍子で暇を持て余すことがありますが、暇つぶしの手段はたくさんあります。書店に行って本を立ち読みしたり、カフェでお茶を飲んだり、映画やテレビを観たり、スマホでネットをしたりできます。それでも暇なら寝ることができます。
死後の世界ではこれらの暇つぶしができません。本を出現させて読むことはできますが自分が読んだことがない本は出せませんし、映画もテレビもスマホも同じです。寝る必要のない身体ですので眠る事もありません。本当に何もすることがないというのはこういう場合のことを言います。恐らくこれは私たちの想像を絶する辛さだと思います。
死後の世界でふつうに生活していることがじつは修行というか学習であるのですが、とはいえ何をすれば良いのか、何をしたら悪いのかといったことは分からないのが普通です。したがいましてそこで得られる情報の取捨選択も重要となるでしょう。さらに言えばこの世にいるうちに常日頃から柔軟な思考を持って、固定観念とか偏見といったもので凝り固まらないことも必要かもしれません。
霊的に成長 するのか、停滞するのか、それとも後退か
死後の世界に来た人たちは、生前の記憶や感情をそのまま持ち込んできているということは以前に書きました。そういう人達が死後の世界で生きがいや自分の価値を見つけられない時、どういう道を選択するのかによって、死後の世界の人生が大きく変化します。
成長する
この世界の現実を学んでそこに暮らす人たちの苦悩に共感して現状を打破したいとか、三郎さんのように親切な霊魂がたまにでも来てくれるのであれば、彼らから大切なことを学んでそれを素直に実行して、今よりましな場所に移動してそれを繰り返すことによって霊的に成長することができます。そうすればいずれ上の霊魂から仕事を依頼されることがあるかもしれません。その場合の仕事とは、物質の人間が下に落ちないための支援とか、死後の世界で下に落ちた霊魂の救済などが挙げられます。
停滞する
生きがいや自分の価値を見つけることができず、さらには生前の凝り固まった価値観を引きずっていますと、同じ場所でずっと暮らすことになるかもしれません。物質の世界と幽質の世界は価値の基準がまったく違うということに気づいて、意識の転換を図ることが大切です。生前にどんなに立派な業績を残しても、誰からも敬慕されるような人格者であっても、それが死後の世界の行き場所を決める基準ではありません。
自己嫌悪に陥って自分の殻に閉じこもってしまったり、逆にこんな場所に来させられたことを理不尽だと文句を言っているだけでは何も変わらないということです。
後退する
霊的な後退は、どうしても避けなければいけません。怒りや悲しみの感情はとても強いものですので、これが他人に向けられますとそれが「念」となって相手の幽体を傷つけることになります。
死後の世界は心の中で言葉として思ったことはそのまま相手に伝わってしまいますので、心の内に強い感情を持っている場合は、ちょっとしたことでケンカになってしまいます。そうなりますと、まさに殺し合いのような凄惨な争いになります。こうして幽体が傷ついてしまって性質が変化してしまいますと、さらに下の世界に移動することになって、さらに苦しい思いをすることになります。
また、「喧嘩が強い好戦的な人」がいるような場所では、何もすることがないので自分より弱い人や動物をいじめて遊ぶ人まで現れます。こんな場所に来てしまったら、他人は全員敵と思って常に警戒して生活するはめになり、心の安定などまったく望めない状況になります。
あと、最悪のパターンとしては、強い人の子分にされてしまうことです。食べないでも寝なくてもいいということは常にこき使われるということです。これはある意味では暇ではなくなるとはいえ、自由もなくなりますので、他界してこういう場所に行ってしまった人は十分用心する必要があります。
対策は今からはじめるべき、他界してからでは遅い
死後の世界を信じる方は、死んでから対策を考えているのでは遅いということを知っていただきたいと思います。この世に生きているうちにやらないとけないことはたくさんあります。
それを知っているのと知らないのとでは、他界後に大きな差となります。どういう生き方をすればこの世も死後も不幸にならないで済むのか、逆に何をしたらいけないのかということを学んでいくことが重要なのです。
【死後の世界についての記事一覧】
第1回 水波霊魂学での見解と死後の世界を知ることの意義
第2回 この世との連続性」と「捨て去るもの」
第3回 最初の関門を突破できるか
第4回 上の世界と下の世界とは何か
第5回 誰もが「夢の中の世界」を経験する
第6回 イメージ したことが実現する世界
第7回 ケンカをすると地獄になる場所
第8回 呼び覚ましてはいけない記憶
第9回 「生きがい」 が見い出せないという苦悩
第10回 霊的に成長 するのか、停滞するのか、それとも後退か
第11回 自分勝手な願い を叶えてくれる神などいない
第12回 相手との 不一致 が悲劇を招く
第13回 なぜ 下の世界 に落ちるのか
第14回 「 宗教の教え 」に隠された本質とは
第15回 思い込み がもたらす不幸
第16回 『 囚われ 』-肉体が消えたあとに残るもの
第17回 無信仰 の人達が集まる街