マインドフルネス ~人間関係を良好にする 自己主張
<前回の記事>
コミュニケーションと人間関係
私たちが互いに意思や感情、思考を伝達し合うことをコミュニケーションと言います。
特に人間は、言語や文字あるいは身振りを用いることもあって、他の動物にはないような細やかな関係を構築することが可能です。
コミュニケーションがうまく機能しているところでは、私たちは気負うこともなく過度なストレスを感じることもない円滑な人間関係を享受することができます。
しかし、最近は人間関係のストレスによるメンタル的な問題を指摘する声が高くなっており、これはコミュニケーションがうまく機能していない場所が増えてきているのも原因の一つだといえるでしょう。
コミュニケーションは、自分の意思や感情、思考を相手に伝えることが大切なのは当然なのですが、相手にどのように伝わったのか、あるいは相手はどのように解釈したのか、という視点が抜け落ちてしまいますと円滑な人間関係の構築からは程遠い状況になってしまいます。
自分の思いが正確に相手に伝わらないどころか、正反対の意味に解釈されるような関係では困ってしまいます。
自己主張 ー「アグレッシブ」と「アサーティブ」
自分の意思や感情、思考のことをここでは「 自己主張 」と言うことにします。自己主張の本来の意味は相手に自分の意見を強く言うことですが、便宜的に使わせていただきます。
正しく自己主張をするために大切なことは、「今、そこで感じていることをきちんと意識できているか」ということです。
『自分の心に湧いてきた感情は何でしょう?』
『それはなぜ湧いてきたのでしょう?』
『もしそれがポジティブな感情ならば、それは私が価値観に合っているから?』
『もしそれがネガティブな感情ならば、それは私の価値観に合っていないから?』
もしもこれが、感動とか喜びという種類のものであれば、それをストレートに相手にぶつけても相手の気分を害することは少ないと思いますが、怒りや敵対的といった種類である場合は、ストレートに相手にぶつけるのは避けたほうが賢明です。
自分の主張を強引に強制的に相手に認めさせる姿勢、態度のことを「アグレッシブ(aggressive)」と言います。コミュニケーションにおけるアグレッシブは困りものです。
とは言いましても、自分の主張をはっきりと相手に伝えることは重要です。
強引に強制的ではなくて、「相手の立場を理解した上で自分の立場から意見を理論的に主張し、歩み寄りをはかる」ように伝えることです。
このような姿勢、態度のことを「アサーティブ(assertive)」と言います。
マインドフルネスー自分の感情を眺める
マインドフルネスの第一歩は、今この瞬間に注意を向けて、今の自分の考えや感情や言葉、状況などにも注意を向けられるようになることです。
人は誰でもある程度は、心の中にある特定の考え方や価値観があったり、自罰的傾向や罪悪感などがあります。
これらに過剰に反応してしまったり、逆に軽視したり抑圧してしまうのは仕方がないことではあります。しかし、マインドフルネスではそれらの感情に飲み込まれることを避け、客観的な視点で眺めるということを目指します。
自分の中にある感情は、感情の一つに過ぎず、それに善も悪もありませんし、ましてやその感情が「私のすべてを表現している」わけではありません。
この態度を身につけることができれば、仮に「ノー」と言わないといけない場面であったとしても、感情的に「ノー」を連呼することなく、相手の立場や意見を尊重したうえで自分の状況を正確に伝えてあくまで冷静に「ノー」を言えるようになります。
この時に「私の立場はこうです」「私はこう思います」というように、「私は」というのを意識すると良いと思います。
問題の原因を他者に求める態度(他罰的傾向)でのコミュニケーションは、常に「私は正しくてあなたが悪い」「私は正義であなたはならず者」という構図になります。
しかし、何か問題が起こっている時、野次馬でない限りあなたは当事者の一人であるわけですから、それは周囲に「責任を回避する人」と思われてしまいます。
私たちは誰でも「社会の一部である」ということを意識して、常に他者の立場や意見を理解し尊重することが円滑な人間関係を築くための第一歩です。
そのための方策として、自己主張の訓練(アサーティブトレーニング)はコミュニケーション能力の向上に役立ちますし、マインドフルネスは自分の心で今起こっていることを意識できるようになり感情的反射的なコミュニケーションを抑制するのに役立ちます。
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