マインドフルネス ~ ストレッサー に対するコーピング

ストレッサー

 

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 ストレッサー ~その要因と現代社会のもたらしたもの

 
私たちが日常的に使用するストレスの意味は、①外部からの刺激(ストレスの要因=ストレッサーといいます)と、②これによって引き起こされた心や身体の反応(ストレス反応)の両方を総称したものです。

 
学問的には、ストレスのは以下の4つの要因があるとされています。

 

  • 物理的ストレッサー・・・「暑い」とか「寒い」、「騒音」とか「静寂」、紫外線、放射線など
  • 科学的ストレッサー・・・化学物質の臭いや吸入時の刺激、酸素の欠乏など
  • 生物学的ストレッサー・・・細菌感染や花粉症をはじめとする炎症など
  • 心理社会的ストレッサー・・・職場や家庭・地域などの人間関係など

 
これらのうち、特に深刻化しているのは心理社会的ストレッサー、簡単に言えば人間関係におけるストレスです。

 
人間関係のストレスの深刻化には、現代の社会構造そのものが密接に関係しています。

 
例えば、地域コミュニティの崩壊や過剰な個人情報保護による人間関係の希薄化や過剰な競争主義による他人への敵対心は、知らず知らずのうちに私たちの心にさまざまな悪影響を与えています。

 
人間関係が希薄化すればするほど、周囲の人の「知らない人化」が進行してしまいます。

 
知らない人というのは、基本的に敵か味方か分からない得体のしれない存在ですので、そういう人が周囲に増えれば増えるほど、私たちの心は警戒モード(黄信号がずっと灯っているような状態)になっていきます。

 
最近では、「誰でもいいから刺したかった」とか「目が合ったから殴った」という人があちこちにいますので、このようなニュースに触れるたびに私たちは無意識に「知らない人」に対してますます警戒するようになっていきます。

 
ただでさえ、入学試験や出世競争において周囲は敵だらけなのに、これ以上競争が激化すれば新春のバーゲンセールも殴り合いになってしまいます。

 
したがいまして、現代は人間関係を如何にうまく対処できるかが大切な時代になっています。

 

 

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 ストレスコーピングとマインドフルネス

 
さて、ストレス対処のことを、「ストレスコーピング」と言いますが、これには大きく分けて2つの方法があります。

 

  • 問題焦点コーピング・・・ストレス要因(人や環境)自体に働きかけ、それ自体を変化させて解決を図ろうとします
  • 情動焦点コーピング・・・ストレス要因(人や環境)自体に働きかけるのではなく、それに対する考え方や感じ方を変えようとします

 
人間関係のストレスに対しては、問題焦点コーピングよりも情動焦点コーピングを使うことが適切だと思います。

 
問題焦点コーピングは、相手の人を変化させようとするものです。そのためには充分なコミュニケーションを図ることが必要ですが、人間関係が希薄化している現代ではそれは困難でしょうし、結局は「力で相手を屈服させる発想や行動」に陥りやすくなります。

 
対して、情動焦点コーピングは相手を変えようとするのではなく自分の感情や考え方に焦点をあてて、固定観念に縛られていないか、一方的に脅威を感じて敵味方という基準で見てしまっていないか、自分が正しくて相手が間違っているという観念に囚われていないか、といったことを冷静に観察して変化させていこうとする態度です。

 
一方、マインドフルネスの態度を持つということは、今、この瞬間瞬間での自分の感情や感じ方に気づくということです。

 
情動焦点コーピングは自分の感情や感じ方を変化させようとします。

 
マインドフルネスは自分の感情や感じ方に気づいて最終的にそれを手放します。

 
方法論としては異なる部分もありますが、自分に焦点を当てるという部分は共通しています。

 
状況を変化させようとするためには、まず現状を知ることが必要です。

 
つまり、今この瞬間に自分が何を感じているのかに気づくことが大切です。

 
したがいまして、人間関係のストレス対処としては、マインドフルネスと情動焦点コーピングをうまく組み合わせて行えば、目の前の問題を良い方向へ進めることができる可能性が高くなると思われます。

 

 

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