マインドフルネス瞑想 ~『 何もしない 』ということ
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マインドフルネスで瞑想を行なう意味
マインドフルネスでは、今この瞬間に意識を向けることが求められますが、いざそれをやろうと思いますと意外と難しいことに気が付きます。
私たちは、思っている以上に「何かをやらなければならない」という意識に支配されています。
「明日これをやらなければならない」、「来週の会議までにやらないといけないことは・・・」、「そろそろ連休の予定を立てないといけない」などと、私たちの意識は未来に向いている時には常に「何かをしなければならない」というモードに支配されています。
このモードから脱するためには、「今、ここにいる(ある)」というモードに意識を切り替える必要があるのですが、ふだん心のなかで何かを考え続けていることに慣れていますと、今という瞬間をじっくり味わうということが難しいのです。
マインドフルネス瞑想とは 何もしない ということ
瞑想とはまさに”何もしない”ということです。瞑想は私が知っている限りでは、目標や目的に向かうのではなく、自分が今いる場所に”存在することに価値を見出す”ための唯一の方法です。
ジョン・カバットジン著 「マインドフルネスストレス低減法」P.93
マインドフルネスにおいて「瞑想」を行なう目的は、カバットジンがその著書で書いている通り、「何もしない」ためです。
「何かをしないといけない」という意識のモードを切り替えるために、私たちがふだん行なうことのない手法を使って、これを実現させるために「瞑想」というツールを利用するのです。
「何もしない」時間を意図的に作ることによって、常に過去や未来を駆け巡っている意識を鎮静化させます。これは精神的な安定やものごとを広い視点で見ることや洞察する力を取り戻す大きな力となります。
「やらなければならない」というモードが入りっぱなしの人は、何でもかんでも「やらないといけない」という思考に陥りやすいです。いったん立ち止まって「これは本当にやらないといけないことなんだろうか?」と冷静に考える余裕がなくなっていきます。
明日までにレポートを仕上げないといけない人は、パソコンに向かって文字を打ち込んでいますが、この時、意識は指先と画面に向かっています。「今ここにいるわたし」に意識を向けている余裕はありません。
しかしながら、一日のうち少しの時間でも、今ここにいる自分に意識を向けるとことで、成果や結果にだけに価値を求めるのではなく、自分の存在自体に価値があるということを認識できれば、瞑想の後に再び「やらなければならない」モードに戻った時に、少しずつですが自分が感じている感情について客観的な目線で眺めるようにできるようになります。
感情におもむくままに行動すると失敗してしまうことでも、感情を客観的に眺めることができれば感情に振り回される危険もなくなってきます。
マインドフルネスにおいて、「瞑想」はあくまでもツールです。
今この瞬間に意識を向けて、今ここにいる自分自身に価値があるのだと知り、自分を客観的に見ることによって感情に振り回されないようにする・・・。
マインドフルネスを習得するための努力は一生続きます。
道は遠いですが、一日一日の少しの努力がいずれ実を結ぶのです。
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