自分は未熟だと知ること

一部の困った自己啓発セミナー系、あるいはスピリチュアル系につきものなのが、洗脳やマインドコントロールです。

ただ、細かく言えば、洗脳とマインドコントロールは違います。ここで言葉の定義を辞書で確認してみます。

 

せんのう【洗脳】brainwashing
①資本主義的思想をもつ者に教育を施し、共産主義的な思想に改造すること。
②その人の思想・主義などを全面的に改めさせること。

マインドコントロール mind+control
①自分の精神状態を制御すること。
②他人の精神状態を自分の意のままに操ること。

(明鏡国語辞典より)

 

洗脳とは、brainwashingを訳した言葉でも想像できますが、今までの思想・主義を抹消して全く新しいものに書き換えるようなイメージです。実際には拷問をしたり薬物などを使用することもあるようです。

対して、マインドコントロールは、心をコントロールするという意味ですので、例えば自分で自分をコントロールしているぶんには悪いことではありません。

ということは、洗脳はもとよりマインドコントロールも、他人から施されることが問題ということになります。

 

昨今の自己啓発やスピリチュアルに対して、人の心の弱味につけ込んだ詐欺的行為だ、という批判が大きいのには理由があります。

まず、人の心の弱味とは何かを思い浮かべれば、たいていの人にとってそれは、解決困難なトラブルに遭遇すること、病気になること、そして死ぬことの3つに大別できると思います。

 

詐欺的行為とは、これらの弱味に対して「トラブルが解決して幸せになる」「病気が必ず治ります」「死後に天国に行けます」というワードを連呼して人々を惑わせているということなのだと思うのですが、問題なのは、それが本当か嘘かということであって、何とかセミナーとか何とか瞑想会に参加して本当に病気が治れば何の問題もありません。

中には、お金を取るのがけしからんという理由で批判している方もおられますが、人間はご飯を食べないと生きていけませんし、家に住めば水道光熱費も必要になります。

主催者も霞を食べて生きているわけではありませんので、お金がかかるのは当然です。

つまり、問題なのは、「本当か嘘か」、これだけです。

嘘をついているのであれば、人を惑わせ、だますために、マインドコントロールという心理的な操作をしているということになります。こういうことをしている集団は一刻も早くなくなってほしいと思います。

 

かつて東京の地下鉄に毒をまいた集団がいましたが、彼らは電気ショックやLSDや覚せい剤などの薬物を使用したそうで、その結果、これを施された者は幻覚を神秘体験と誤解したり、記憶を消されたり、教祖の教えや反社会的活動に反抗する意志や能力を奪われたりしました。これは明らかに洗脳といわれるものです。

しかし、この団体が大問題を引き起こしたあとは、このような洗脳行為をおおっぴらに行う団体はなくなったと思いますが、それの代替行為として他人へのマインドコントロールが広がったという見方もできるかもしれません。

 

ここで問題となるのは、自分がマインドコントロールされているかどうかの判別を自分で行うことは困難だということです。

したがいまして、マインドコントロールされないための方策が示されている書籍やホームページもありますので、そちらを参考にすることも重要です。

 

ただ、これらの方策に一つ付け加えさせていただくとすれば、「この世の人間は一人残らず未熟な存在であることを知ること」です。

社会的地位が高かろうと、どんな立派な肩書があろうと、完全な人間は一人も存在しないということを知っていれば、安易に他人の言うことを鵜呑みにすることも少なくでしょうし、何かを判断しようとしている私も未熟なのだから、大事な決断をするときは一人で決めずに周囲に相談しようという気持ちになると思います。

 

「私は未熟ですから」と看板を出しておけばいいのです。
「私は未熟ですから、あなたの仰る素晴らしい言葉の意味を理解するため、そして決断をするために・・・・・・、」

「親や友人と相談します。」
「役所や警察に確認します。」

 

 

未熟ということは恥ずかしいことでなく、まして謙遜でもありません。
それを「事実」として知ることが重要なのです。