現実を生きる人、 妄想を生きる人

現実

 

<前回の記事>

 

現実を生きている人

 

現実を生きている人たちといわれて思い浮かぶのは、私の場合はスポーツをしている人や昨今の将棋ブームもあり将棋棋士です。彼らは勝負の世界に生きていますので徹底的なリアリストなのは確実でしょう。

 

もちろん夢を実現したいという面もあるでしょうが、自分が置かれている現実(実力)を直視することを決して忘れません。自分のストロングポイントを伸ばすこととウィークポイントを失くすことを計画的にかつ人一倍の努力を重ねて実行していきます。

 

一回きりの勝負ではなく、同じ相手と継続して勝負する必要がある場合には、負けたほうは次回は勝つために計画を立てるわけですが、勝ったほうは何もしないのかといえばそんなことはなく、相手の出方を予測してその対策を考えています。

 

勝ったほうも負けたほうも、次回の勝負に向けて行う対策は、あくまで現実に即したものであり、勝負の場面では自分も相手もベストなコンディションであると仮定したものです。

 

「相手が食あたりを起こして会場に来なければいいのに」とか「試合の前日に階段から落ちて足でも折ってくれれば不戦勝だ」といった、現実に即さないような妄想をいくら膨らましても勝てるわけがありませんし、たとえそのようなことが一瞬でも頭に浮かんだとしてもそれに惑わされることがないのがプロだといえるでしょう。

 

自身を現状分析する術に長け、夢を実現するために必要な方策をストイックにこなすだけではなく、夢を見るだけでは自身の生活が成り立たないことをよく理解しているのだと思います。

 

 

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妄想を生きる人

 

一方、勝負がはっきりつかない世界に生きている人たちの中には、妄想の世界の住人と言わざるを得ないような人たちがいます。彼らの特徴は、何かしらのメソッドを使って、現実的な努力をせずに自己の願望を実現しようとすることです。

 

例えば、自分の潜在意識には無限の力があって、それにうまくコンタクトできれば願望が実現するとか、心のなかで強く念じれば思いは実現するとか、感謝すれば心の波長を上がってそれが自分に返ってくるとか、挙げればきりがありませんが、共通するのは現実的な努力をしないで願望を実現しようとしている点です。

 

最近はこの手のメソッドがいろいろと開発されているようですが、こういうものに興味がある方に考えていただきたいことがあります。

 

それは、人として生きるための最も基本的なこと、すなわち人間は食べないと生きていけないということです。

 

潜在意識に何を願っても、満腹にはなりません。食べ物を得るためにはお金が必要ですし、お金を得ようと思えば、不労所得でもない限り自分が働くしかありません。

 

夢を持ってそれを実現したいと努力することは大切ですが、努力は現状を分析して行われるべきものであって妄想を根底に置いてはいけません。妄想している間は幸せに浸れるかもしれませんが、それが覚めた時には現実が待っています。その落差が大きければ大きいほど心理的なダメージは大きくなります。

 

 

すべては自分の心しだい

 

霊的な側面で言えば、人には誰でも可能性があるのは確かですし、意識の奥には高級な部分があるのも確かなのですが、私たちは現実の世界を生きているということを忘れてはいけません。夢を追いかけるにしても、まずは現実を直視して出来得ることを考えずして、単に自分勝手な妄想に頼ることは危険であり愚かなことです。

 

バットの握り方も知らないのにイチロー選手みたいになれるとか、スケート靴を履いたことがないのに羽生選手のようになれるわけがないと言えば、「そうだその通り」と言う人でさえ、神秘的メソッドがいう荒唐無稽な理論にコロッと騙されてしまうことがあります。

 

「宇宙のパワーに繋がることができれば1000円手に入るメソッド」に人は集まりません。たいていの荒唐無稽な理論は「幸せ」という人によって尺度が違う曖昧なものを相手にしています。

 

そのようなものに貴重な時間とお金を使えば使うほど、それが叶わなかった時やインチキだと知った時のショックが大きすぎて立ち直れなくなる危険を考えないといけないのです。

 

現実を直視するのも妄想を膨らませるのも表面の心ですが、どちらかを選ぶのでしたら、やはり現実をしっかり把握してから、その対策を練るほうが建設的なのは言うまでもありません。

 

何事も成すにも、一朝一夕にはうまくいくことはありませんし、ましてや祈っただけでは何も解決しません。

 

人間の本性は楽ができるのなら楽をしたいのですが、その部分をくすぐるような甘い言葉には気を付けませんと、たとえ金銭的な被害はなくても人間関係を失ったりして、この世を生きる上で大きなダメージを受けることになります。

 

楽ばかりを求めて落とし穴に落ちないようにしたいものです。