除霊と浄霊 ~間違った考えに騙されないために
除霊 と浄霊?
巷では悪い霊魂に憑依されると不幸が降りかかってくるので、こういう霊魂を排除するための方法として霊術が語られることが多いと思います。
除霊とは憑依している霊魂を強制的に排除する手法で、浄霊とは悪い霊魂やこの世に未練を残している霊魂を説得して成仏させてあげる手法といったところでしょうか。
浄霊という言葉がいつ頃から使われるようになったのかは知りませんが、恐らくテレビの影響が強いのかもしれません。現在は目にする機会が減りましたが、昔は心霊現象を扱うテレビ番組がたくさんありまして、それに出演していた霊能者と言われる方が相談に来た人に対して「悪霊が憑依しています」と言い、その悪霊にこの人から離れて成仏するように説得していました。
そうしますと、それまで乱暴な発言をしていた悪霊がどんどんおとなしくなって、最後は説得を受け入れてその人から離れてあの世に帰っていくという展開になります。そして、霊能者が「悪霊を浄化しました」と言って一件落着です。
水波霊魂学から見た、除霊と浄霊
私は水波霊魂学を学び始めて十数年経ちますが、曲がりなりにも霊魂に関する知識を得てきました。その結果、今では浄霊という考え方は根本的に間違っているということを知ることができました。
それでは、浄霊という考え方がなぜ誤っているのでしょうか。
人間に悪戯する霊魂の大半は「元人間」
霊魂というのは特別な生き物ではありません。もっとも、物質の存在ではありませんので生き物と呼べるのかどうか分かりませんが、霊魂を知るために大切なことは彼らは私たちの先輩にすぎないということです。
簡単に言えば、私たちより先に他界した人達です。つまり、元は人間だったのです。
私たちの周囲を見渡せば分かりますように、物の考え方や価値観は人それぞれに違います。自分さえ良ければ他人のことなどどうでも良いという人もいます。そんな人に対して短い時間で考え方を改めさせることができるでしょうか?
人を騙してお金を得ている人に対して、「額に汗して働きましょう」と言って「分かりました、そうします。」という展開になるでしょうか?
人はそれぞれ複雑な事情を抱えて生きています。そんな人に対してこれまでの苦悩を和らげて新たな道を進むように話をしようとすれば、何ヵ月も何年もかかるのが普通です。たった、数時間で解決するわけがありません。
もう一度繰り返しますが、霊魂というのは元は人間なのです。ましてや生きている人間に悪戯しようとする霊魂は、思考も価値観もこの世に生きていた頃とほとんど変わっていないことが多いのです。
そんな存在に対して、「説得する」という行為が成り立つことはありません。
説得ということに関して、下で紹介している書籍に言い得て妙だと感じた一節がありますのでここに引用します。
どんなに悪い事をした人でも、短時間で救えるのであれば、浄霊ができるという人の所へ連れて行き、説得してもらえば良いのである。目に見えない存在すら説得して救えるのであれば、目に見える人を救えない訳がない。
水波一郎著 霊的技術 -傷ついた幽体を救え- 第四章 除霊 p.56
下の世界の霊魂がこの世をうろつく理由
仮に霊魂を説得してあの世に返すことが「浄霊」というのでしたら、これはほとんど無理な話です。
なぜなら、この世をうろつく霊魂はあの世が怖いから逃げて来たからです。
他界後、下の世界に行ってしまって恐ろしい思いをした霊魂が必死になってやっと地上の世界に逃げてこれたのに、誰かに説得されたからといって元の世界に素直に帰るわけがありません。
この世に逃げて来た霊魂は物質の存在ではありませんので、この世に生きている人に何を話しかけても気づいてもらえません。いつまでたっても空腹にならないので食べる楽しみもなく、お金を持っているわけでもありませんので買い物をして楽しむこともできません。そして寝る必要もないので時間はたくさんありますが、何もすることがありません。
何もすることがない霊魂が行き着く先は何かと言えば、生きている人間に悪戯して暇を潰すということです。
浄霊は間違った考え方
霊魂を救うというのは、元にいた場所に返すことではないということはご理解いただけたと思います。本当の意味での救いは上の世界に入ることしかないのですが、前述しましたように霊魂も考え方や価値観はそれぞれ違いますので実際に救うことは簡単ではありません。
中には、他界した後も存在しているので死後の世界や霊魂のことは認めることにしたが、それでも神は存在しないと考えている霊魂も存在します。こういう考えの持ち主に対して上の世界の霊魂が何を言っても無駄です。
こういう霊魂が人間に対して悪戯をしている場合は、問答無用で排除するしかありません。水波霊魂学での霊術には除霊を行なう手法がありますが、これは説得などしませんし霊術を行使している人間が霊魂に対して何をするわけでもありません。
簡単に言えば、霊術を専門にしている高級な霊魂が、人間に悪戯している不道徳な霊魂を強制的に排除します。霊術を行なっている人が何をしているのかと言えば、高級な霊魂に対して、対象者がどこにいるのかを指し示したり、施術者がこういう動きをしたら霊魂はこういうことをするという、あらかじめ決められた手順を施術者と高級な霊魂がタイミングを合わせて行っているのです。
ですので、水波霊魂学で行なう霊術は、大前提として契山館の会員であってその中でも資格がある人に直接伝授するものです。それでも騒音や妨害者がいたりして環境が良くなかったり、施術者と高級な霊魂との連携がうまくいかなかったり、霊術を受ける人が真剣でないと成功しません。それくらいデリケートなものですし、薬物のように意志に関係なく効果があるといった簡単なものではありません。
霊術は簡単ではないのですが、世の中の人は往々にして考え方が逆になっていることがあります。つまり霊術は簡単で霊魂は得体のしれない恐ろしいものといったようにです。
霊魂のことをあまり難しく考えすぎたり、全く違う化け物のように考えますと、間違えたり騙されたりします。
もっとシンプルに、下の世界にいる霊魂は人間と同じだと考えれば、騙されることは少なくなると思います。