この世は霊的に『 玉石混淆の世界 』であるということ
玉石混淆とは
玉石混淆(ぎょくせきこんこう)とは、良いものと悪いもの、優れたものとそうでないものが混ざり合っていることをいいます。
晋(しん)の国の葛洪(かつこう、283年~343年)という人が著した「抱朴子(ほうぼくし)」の中にある「眞僞顚倒(しんぎてんとう)し、玉石混淆(ぎょくせきこんこう)す」という一節から世に広まった言葉です。
葛洪は道教の研究家であり、抱朴子は317年に著された神仙思想と煉丹術の理論書です。神仙思想とは仙人になるための理論、煉丹術とは不老不死などの霊効をもつ霊薬を作る技術で、仙人になるための道(内丹術の修煉術など)を示したものが仙道です。
仙道のことはともかく、「眞僞顚倒し、玉石混淆す」とは、真偽が転倒して玉と石がごちゃ混ぜになっているという意味ですから、本物と偽物が転倒、つまり逆さまになったところに玉(宝石)と石が混ざり合って何が何だか分からない嘆かわしい状況を示しています。
『 玉石混淆 』とは善悪や賢愚のことではない
本物と偽物の区別もつかず、宝石と石ころがごちゃ混ぜになっているとは、まさに現代におけるこの世界(物質界)のことではないでしょうか。
ただし、これを玉は賢者あるいは善人、石は愚者あるいは悪人のことなんだな、と短絡的に解釈してしまうと大事なことを見落としてしまうように思えます。
なぜなら、善人や悪人という定義は、各個人の目線から見た評価でしかないからです。
絶対的な善人、絶対的な悪人などいません。生まれた時はみんな赤ちゃんなのですから、最初から暴力的な人などいないのです。
成長の過程で虐待を受けたり、生まれ育った環境によって暴力的な面が表に出てきてしまい、結果として犯罪に結びついてしまうことは確かにあります。その結果、悪人と言われて白い目で見られることもあるかもしれません。
被害者が加害者を悪人だと恨み、無関係の人は無関係、というような誰が見ても分かりやすい構造で、「世の中にはいろいろな人がいてまさに玉石混淆だなぁ」で終わればいいのですが、じつは本当の意味で人間を玉と石に分けてしまう決定的なことが実際に起こっていることをほとんどの人が知りません。
それがどこで起こっているのかと言いますと、人間の持つ霊的な側面です。
人間を霊的な意味で玉と石に分けてしまうものは『幽体の質』
これまでも他の記事で何度か触れましたように、肉体は両親が作ったものですので肉体的な遺伝を受け継いでいます。しかし、幽体は母親の胎内で生命が誕生したときに幽質界から細胞のごとしものが引き寄せられたものですので、両親とは無関係です。
したがって、幽体から見れば両親とは基本的には何の関係もない別個の存在です。言い換えれば赤の他人のようなものです。肉体的にはおとうさんおかあさんは血が繋がった大事な関係ですが、幽体的にはおとうさんおかあさんは血の繋がりもなければ霊的個性としても何ら関係がなく、たまたま両親が作った肉体に重なってしまっただけです。
両親は「私達のところに生まれてきてくれてありがとう」と思っていても、肉体的には正解かもしれませんが、幽体は「何のこと???」という感覚ではないかと思います。
話が逸れてしまいましたので元に戻します。さて、肉体は食物を摂ることによって成長していきます。一方、幽体は幽気というものを摂ります。空気や食物の質が肉体の健康に影響を及ぼすように、幽気の質は幽体の健康に影響を及ぼします。
人は、母胎にいるときは母親の幽気を直接吸っています。この世に生まれてしばらくは母親または父親の幽気を引き寄せるかのように吸っています。
したがいまして、両親、特に母親の幽体の状態が非常に重要になります。母親の幽体の好不調によって胎児が吸う幽気の質も変わります。したがって、とても残念なことですが、赤ちゃんはこの時点で霊的には玉と石ころに分かれてしまうことになります。霊的に良くない環境で育ってきた男女が結婚し、生まれて来た子どもが霊的に良好なわけがありません。
とはいえ、仮に生まれた時は石ころでも、その後の人生で質の良い幽気を吸うことができれば、死ぬ頃までそれなりの玉に変化することは十分可能です。ただ、質の良い幽気は意図的に下ろさないといけないものであり、ほとんどの人はそんなことをするわけもなく、21世紀の価値観(科学至上主義や無神論)に沿ったかたちで生きていきますので、結局は霊的に石ころのまま死んでいくことになります。
幽体の質を高めるために必要なこと
人の一生は肉体的にも幽体的にも悩みや苦しみの連続ですが、質の良い幽気を吸うことで幽体は活力を持つことができます。そうすれば日常生活で少々の念が来ても自然治癒できますし、自身の守護霊の指導下で道を踏み外す危険も少なくなります。
しかし、質の良い幽気を吸うことができない環境に長くいると、幽体の活力が弱くなりやがて不調が出てくることになります。そうなりますと肉体的な病気や怪我を誘発しますし、良からぬ霊魂の視界に入りやすくなります。良からぬ霊魂の影響下に入りますと道を踏み外す恐れが高くなります。
さて、地上の世界の幽気はどんどん汚れてきています。理由はいくつかあります。
ひとつは、人が増えたということがあります。人が増えれば自然環境が悪くなるように、霊的な環境も悪くなります。そうなりますと幽体が成長できずに不調を抱えてしまい、結果的に霊的な石ころが増えます。さらに、地上の霊的環境の悪化は、良からぬ霊魂が住みやすい環境を作ってしまいますので、人間がこれらの霊魂に干渉される危険が増します。まさに悪循環です。
そしてもうひとつは、『霊的な掃除機』がなくなったということがあります。私達はからだが汚れれば風呂に入ります。部屋が汚れれば掃除をします。これと同様に幽気が汚れたときにこれを掃除(祓う)する掃除機(高い気を下ろし得る宗教施設)が地上から消えてしまいました。掃除をしなければ汚い幽気が溜まり放題になります。
胎児の幽体にとって大事なのは、母親の幽気です。母親は幽気を空気中から吸収しています。しかし、空気中の幽気の質はどんどん悪化しています。
ということは、生まれてくる赤ちゃんは霊的に石ころである確率が高くなります。
その赤ちゃんも成長して、やがて子供を産みます。母親は霊的に石ころですので、生まれてくる赤ちゃんは当然、霊的に石ころになります。
生まれてから死ぬまで質の良い幽気を吸う機会がなければ、確実にこうなります。
生まれたときからすでに幽体は不調で、守護霊からはまったくその存在を視覚できません。逆に良からぬ霊魂にはよく見えますので寄って来られる可能性があります。また、日常生活で念を飛ばされて幽体が損傷して自然治癒力が低下しています。傷が治らないうちにまた念が飛んできて傷が付きます。この繰り返しではいずれ幽体はボロボロになります。
守護霊・指導霊の指導下にないということは、過去世で受けた苦悩が浮いてきてもそれに翻弄されるしかないということであり、これは人生の苦しみを倍加させます。そしてとうとう肉体にも不調が出てきて、最悪の場合そこで死を迎えます。ここで消滅できればまだましでしょうが、残念なことに死後の世界は存在し半永久的に続きます。
この世界(物質界)でのたった数十年ですらこんなに苦しかったのに、その後に続く死後の世界(幽質界)ではそれ以上の苦しみを味わうことになります。
玉石混淆の世界の唯一の利点
ただし、玉石混淆には利点もあります。
それはこの世界(物質界)が、霊的に進歩した人間とそうでない人間が混じって生活しているということです。そして、上の世界の霊魂と下の世界の霊魂が同時に活動できる唯一の場所でもあります。
幽質界は幽体の状態が住む場所を決めます。怒ってばかりや泣いてばかりでも幽体の状態が良ければ上の世界にいますし、他人の世話が好きでも笑顔で穏やかでも幽体がボロボロならば下の世界にいます。
一方、地上の世界は良からぬ霊魂に翻弄されて霊的に不幸になる恐れがある反面、高級な霊魂に真剣に祈れば霊的に成長できる可能性が残されています。
他界した後に幽体を成長させることは地上の世界で成長させるよりも困難です。なぜなら、幽質界の同じ場所にいる霊魂たちは幽体の状態は大差ありませんし、上の世界の霊魂がそこに行くには自らの霊的な力を低下させなければならないために、その場にいることに精一杯で、高い気を下ろす余力がないことが多いからです。
地上の世界は人間が上の世界の霊魂に祈ることで、上の世界の霊魂から高い気を下ろしてもらうことも可能ですし、人間の幽体が成長すればさらに上のレベルの霊魂に祈りを届けることもできます。
ただし、そのためには高貴な存在との『契約』が必要です。人間である私たちがこうしたら、高貴な存在はこうするというような取り決めが必要となります。何の取り決めもなく一人で勝手に神に祈っても何も起こりません。
水波霊魂学は高貴な存在との通信を体系化したものですが、その中にはこの契約も入っています。
霊的活動をするということは、自分自身の霊的身体(幽体・霊体)を成長させるばかりではなく、高貴な存在との契約により質の高い気を地上におろすことでもあります。
質の高い気をおろせる人間になれれば、周囲にいる人も高い気を吸うことができます。守護霊・指導霊の視界に入りやすくなりますし、そうすれば辛く苦しい地上での生活も孤独ではないと知ることができます。目には見えなくても高貴な存在が正しい道を示して下さっているという確信があれば、どのような人生を送ろうとも霊的に間違った道に落ちることはありません。これが『霊的な玉』を目指すということです。
結論としては、何もしないで玉になることは不可能です。地上の人生は、石を磨いて玉にするための時間にしなければいけません。
こちらのページもぜひご覧ください。
【霊魂学の特徴】
http://http://www.interq.or.jp/mercury/w22525/sagurutameni/01_10/3.htm
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