『 霊的世界の法則 』 はすべての人に平等に働く
『肉体の脳』という偉大だが困った存在
前回の記事で、人間の霊魂が地上に下りて行った過程をざっくり説明しました。
創世記に載っている神話に例えれば、エデンの園にいたアダムとエバという人間の形をした『霊魂』は地上に下りた途端に自分たちが裸であることを恥ずかしいと思ったのかもしれません。
さて、地上に下りた人間の霊魂は、肉体といういわば被り物をして人生を送ります。霊魂の世界では経験できないこと（食べる悦び、セックスする悦び）が出来たことで快楽を感じることもありましたが、食べ物を得るために働かなければならないことや、人間関係に苦しみ個性も増えました。
私は未だに数十年前の辛い出来事を思い出したり、夢に見たりすることがあります。つまりこれらの思いはいつまで経っても心の奥に残って消えてはいないのです。
さすがに幼少期の記憶を思い出すことはありませんが、それは思い出せないだけで心の奥には消えずに残っています。仮に幼児期に虐待されて辛い思いや恐怖を味わった人がいて、そのこと自体は大人になればふだんは忘れてしまっているのかもしれませんが、これらの心の傷は消えていません。
肉体の脳は、科学文明を発展させた功労者なのかもしれませんが、記憶というメカニズムについては良い記憶だけでなく悪い記憶もしっかり刻まれているという意味では、困った存在になることもあります。
死後も肉体の脳が影響を及ぼす
さて、誰でもこの世を去る時が来るのですが、誰でも一人ぼっちで何の荷物も持たずに他界するはずです。
しかし、本当はそうではありません。
一つだけ持っていくものがあります。
それは、「この世で感じた思い」です。
他界した当初は、この世にいた頃のことをあれこれ記憶していますが、何十年もあの世（幽質界）で暮らしていれば、必要のないものはどんどん忘れていきます。それは小学校時代のクラスメイトの名前をほとんど忘れているのと同じです。必要ないものは忘れていくわけです。
そうして、どんどん忘れていくわけですが、最後まで忘れられずに残るものがあります。
それは「思い」です。
悔しい、苦しい、寂しい、怖い・・・。
そういった思いは、それが大きければ大きいほど心の奥にずっと残ったままになってしまいます。
残ったままだとどうなるのかといいますと、霊的生命体としての成長に悪影響を及ぼすのです。つまり、霊的にさらに上を目指そうとする時に、これらの心情がネックとなって成長が止まってしまうということがあるようなのです。
あの世（幽質界）は、想念の世界ですので強く思ったことが実現する世界です。また、下の世界は別ですが、基本的に何をしても自由な世界です。食べる必要がないので働く必要もない、寝る必要もない、家や土地に縛られることもありませんので、相性が良くない人がいれば去ればいいだけ、お金もありませんので貧富の差はありませんし、姿かたちも自在に変えられますので、肉体の性別と心の性別が異なって苦しむということもありません。
とにかく自由な世界なのですが、それゆえに未熟な感情を乗り越える機会が全く訪れないという面があります。この世で経験した「思い」はこの世で乗り越えることが必要なのです。
地上への再生
以前の記事にも触れましたように、私たちが地上に生まれて来た理由は、地上の男女が生殖行為をしたからです。つまり、そこに神の意思など全くなく、主導権はあくまで地上の人間が握っているわけです。
地上にいる男女が生殖行為をして、受精卵ができますとそこに幽質界の霊魂の一部が自動的に引き込まれます。全部ではなく一部です。これは幽体という霊的身体は一部分であっても全体を表現できるという特殊な性質を持っているようで、例えば、Aさんという霊魂が幽質界に留まったまま、Aさんの幽体の一部が受精卵に引き込まれるかたちになります。つまり、肉体は両親の遺伝を引き継いだ新品ですが、それに重なる幽体はAさんの分身なのでした。
この辺りは話が大変複雑になりますし、私も偉そうに講釈できるほど知識があるわけでもありませんので、詳しいことはここまでにしますが、いずれにしましても幽質界にいる霊魂が生前に抱えた「思い」のために成長が止まってしまいかねない状況になった時に、地上に一部が再生してこれらの「思い」を乗り越えていくことによって、分身だけではなく本体も霊的に成長していくことができるというのが、私がこれまで教えられてきた再生の基本でした。
ということは、再生してくる幽体は幽質界の上のほうにいる霊魂の分身だということになります。事実、今まではたいていの場合、地上に再生してくる霊魂はそうだったそうなのですが、最近は少し事情が変わってきているようなのです。
当然、悪い方向に、です。
地上の男女の霊的レベルが下がると・・・
ここでまた「信仰心」が登場してくるのですが、昔の人と今の人で決定的に違うことは、素朴な信仰心が決定的に失われてしまったということです。
昔であれば、熱心な宗教信者でなくても、神様や仏様に対する畏敬の心というものがあって、神社の近くを通りがかれば気軽に参拝したり、路傍のお地蔵さまや祠に手を合わせるということを自然に行なっている人が多かったのですが、ここ数十年の間にこれらのことが急激に廃れてしまっているように感じています。
もちろん、神社仏閣、お地蔵様や祠に見るたびに手を合わせろと言っているのではありません。現代はそれはむしろ益より害のほうが大きいので避けたほうが無難なのですが、昔はそれらの中の3つに2つくらいはそこそこ高い気が下りている場所があって、定期的に参拝したり、祭礼などで訪れているだけでもそれらの気を幽体が吸収することができました。
ですから、特に熱心な宗教信者でなくても、普通に生きて普通に他界すれば少なくとも下の世界に落ちるということはなかったのです。
ところが、現代はそういった施設に真摯な気持ちで訪れる人は減っているように思えます。初詣や七五三詣でを行なう人は多数おられますが、それは単に習慣だから行なっているという方がほとんどだと思います。
宗教施設で真剣な祈りをする人が減り、それに伴って今まで神社にいた上の世界の霊魂も去ってしまい、代わりに自称神様を騙る未熟な霊魂がやってきました。それだけでも困りものなのに、信仰心の欠片もなく、高い気に一度も触れたことがないという男女が増えています。
そして、増えているだけならまだしも、彼ら彼女らは生殖行為を行ないます。さて、生まれて来た子どもの幽体の霊的レベルはどうなっているのでしょうか？
信仰心の欠片もなく、高い気に一度も触れたことがない人が、霊的に質が高いわけがありません。そんな男女が、前述したような上の世界の霊魂を引き寄せることができるのかと言えば、これは難しいのではないかと言わざるを得ません。
親となる人の幽体が既に霊的な障害を抱えている場合、受精卵に引き込まれた幽体の栄養源となる幽気は両親、特に母親の幽気です。その母親が霊的に低い幽気しか持っていなければ胎児の幽体も低い幽気しか吸収できません。
そして、この世に生まれて来た子どもはどうなるのかといえば、この世の幸せとあの世の幸せの基準が違いますので、金持ちの家に生まれれば良い服を着せてもらって、良い学校に行かせてもらって、名の知れた会社で出世して、周囲から見ても羨ましいと思われるような人生を送るかもしれません。
しかし、霊的には生まれてきた時点で既に終わっているを言わざるを得ません。
なぜなら、親に信仰心がない環境で育った子どもが信仰心に目覚めることはとても困難なことですし、なによりも、重なっている幽体がどんなレベルの霊魂の分身なのかといえば、抱え込んでいる未熟な心情を何も克服できていない霊魂の可能性もあります。とはいいましても、下の世界にいる邪霊といわれるような存在の分身であることはありませんが、場合によっては、上の世界の下のほうの霊魂である可能性はあります。
霊的なレベルの低い人は、守護霊が視覚できません。守護霊は何とかしたいと思ったとしても「見えない」のですからどうしようもありません。さらに、未熟な心情をたくさん持っているということは、肉体が成長するにつれてこれらの心情が表面の心にどんどん悪い影響を与えていきます。
このような状態で生きている人は、守護霊の庇護を受けることもなく、未熟な心情の正体が分からないまま、早い人は青年期には心が爆発してしまう恐れがあります。
『 霊的世界の法則 』は平等に働く
私は霊的世界の法則のすべてを知っているわけではありませんが、他界後に行く場所を決める要素が何かは知っています。
それは、幽体の状態の良し悪しです。
この世で如何に功績を残そうと、人格者として尊敬されていようと、幽体の状態が悪ければ、同じような幽体を持っている場所に行ってしまうことになります。
幽体の状態が悪くなる原因はたくさんありますが、一番大きいのが人の念です。念が幽体に命中することで幽体が損傷して霊的な障害を起こしたまま他界してしまったことで、いわゆる下の世界の住人になってしまいます。
ですから、性格が悪い人とか暴力的な人だけが下の世界に行くわけではなく、愛に満ち溢れている人であっても他人から僻まれて念を飛ばされていたのであれば、下の世界の住人になる恐れがあるのです。
ですので、死後の世界を信じる人にとって大切なことは、『幽体』を知ることです。これを知るのと知らないのとでは死後の世界だけではなくこの世の生き方にも大きな差が出てしまいます。
自分自身が他界後に下の世界に落ちないことは重要ですが、自分の霊的状態が子どもをはじめとする家族やペットにも影響を及ぼすということを知っておいたほうがいいと思います。