ブラック企業を経営する ブラック経営者 の特徴とはなにか

ブラック経営者

 

「ブラック企業」という言葉を毎日のように耳にするようになりました。しかしその定義は厳格になされているわけではありません。企業とは法人のことですが、法人を良くするのも悪くするのも人間、特に経営者です。つまり経営者がブラックだから経営している会社がブラックになってしまうわけです。

とはいいましても、知らなくて結果的に違法行為をした者と意図的にそれをしている者とでは悪質度に雲泥の差があります。ここでは悪質な経営者( ブラック経営者 )の特徴について書いていきますが、これも厳格な定義はありませんし、ケースを挙げればキリがないでしょう。ですから、ここでは2つの点を指摘したいと思います。

 

ブラック経営者 の特徴1:従業員は「マインドコントロールされた消耗品」

ブラック経営者にとって、従業員はただの消耗品です。自分の意のままに動いてくれる人ほど重宝されますが、かといって重用するわけではありません。ブラック経営者に気にいられた人は、経営者の代わりに新入社員を教育(マインドコントロール)する係に昇格します。もちろん権限など一切与えられないいわゆる名ばかり管理職ですが、彼らはブラック経営者のお目付け役として、経営者の代わりに他の社員に目を光らせ、そして経営者をカリスマ化させる役割をも担っているのです。

経営者は、採用するのにも仕事を教えるにも費用が掛かっていますので、社員がたった数ヵ月で辞められると困ります。したがって仕事を覚えてお金を稼いでくれるようになるまでは何とか辞めないようにあの手この手を使います。

辞めたいと言おうものなら、経営者の子分である名ばかり管理職から、「裏切者」とか「嘘つき」呼ばわりされます。これは従業員に負い目を感じさせるための心理操作であり、組織防衛のための方便です。会社に逆らって干されたり辞めていった人を見て「残っている私たちは仲間だ」と感じさせるように仕向けているわけです。

これで長く雇用するのならまだしも、はじめから消耗品ですので長居されたら困ると思っているのも彼らの特徴です。あまり長くいると慣れあいになるのを嫌っているのかもしれませんが、数年で辞めて欲しいと思うのが彼らの価値観のようです。

 

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ブラック経営者 の特徴2:従業員から時間を奪う

ブラック経営者は、従業員が自由にできる時間を与えないように行動します。長時間労働は仕事量が多いだけではなく、従業員の持つ「時間を奪う」ことも主な目的です。

なぜ時間を奪う必要があるのかといえば、

  • 経営者から見て、困った行動をとらせない

労基署や労働相談などに行く時間を与えない。転職活動をさせない。情報を遮断する。

  • 睡眠時間を与えないことで心理的に不安定にさせる。その上で「悪いのは自分」「ここで働くしかない」と思い込ませる。

といったことが考えられます。

「今日の仕事は今日中に終わらせる」と一見その通りだと感じてしまうような価値観を悪用し、一日ではとてもこなしきれないような量の仕事を与えた上に、それができないのは「あなたの能力不足なのだ」と叱責され続ければ、睡眠不足で冷静な判断ができなくなっていますので、目の前の仕事をこなしていくことだけを考えるようになっていきます。

長時間労働の問題は、従業員の健康や残業代の未払いといった面だけではなく、これを意図的に行なっている悪質な経営者がいるといった面でも考えていく必要があります。

 

 渦に巻かれた人を助けるために

ブラック経営者は、従業員から時間を奪い、思考能力をも奪います。そして、社畜化させるためのアメとムチを巧妙に使い分けます。

我が国の雇用形態は、年功序列型の賃金体系ですので正社員で長期間雇用しますと人件費が高くなってしまいます。ですから、若くて従順な人を雇って数年単位で入れ替えていけば、人件費は低く抑えられますし、若いから使い倒しても無理が効くと考えているわけです。

ブラック企業といわれている会社の経営者には2種類の人間がいます。ひとつは労働基準法を理解していない経営者、もうひとつは労働基準法を悪用する経営者です。前者は労基署が指導すれば改善する余地はありますが、後者は悪意をもって労基署にばれないように、あるいは従業員に行動させないように巧妙な仕掛けをしています。

特に心理的な操作(経営者を崇拝させる、従業員が負い目を感じるように仕向ける等)については、どこで習ったのか知りませんがプロ級の腕前を持っています。ですから、働く側も彼らが仕掛ける心理的な罠に嵌らないように、常日頃から現状を冷静に分析できる目を持つことや、家族や友人といった周囲の意見を耳を傾けたり、専門家(労働相談窓口など)に本人は無理な場合は家族が支援を求めるといった対策をあらかじめ立てておく必要があります。

間違ってブラック企業に入社したということは、いわば渦に巻かれてしまった状態だということです。渦に巻かれて半ばパニックになっている人に向かって、「労基署に行け」とか「労働相談に行け」と言いましてもそんな余裕はありません。したがいまして、渦から救出するためには周囲のサポートが重要なのです。